履行不能ではなくて、不完全な履行がなされた場合 担保責任

売買契約後、引渡前に目的物が滅失した図
これまでは、主に履行不能について考えてきました。契約締結後、引渡し前のはなしでした。
次に引き渡されたのですが、ちゃんとしたものが引き渡されなかったときのはなしを考えていきます。

第2回の冒頭にもちらっと話には出てきておりました。
第3回で「引渡しのあと物が滅失したら代金債権はどうなるか?」は確認しています。

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき

条文の規定振りは、引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき、というかたちになっています。

民法第562条 追完請求権
民法第563条 代金減額請求権
民法第564条 損害賠償請求及び解除

引き渡された目的物は、売買の目的物が何であるかの限定はついていません。この規定により、引き渡されたことが重要であり、履行遅滞や履行不能のはなしではない、ということになります。

他人物売買も、担保責任の規定からは外れています。一般の債務不履行の規定が適用されます。民法第561条 他人の権利の売買における売主の義務

4つの買主の権利のうち、買主に帰責事由あってもできるものは?

解除は、できませんでした。第5回 解除について (第543条)

ここで、買主に帰責事由あってもできるものは、損害賠償のみです。過失相殺はあります。

売主に帰責事由がないと請求できないものも、損害賠償のみです。
解除は、売主に帰責事由なくてもできました。
追完請求はもともとの履行の請求と考えれば理解できるかと思います。
代金減額請求は、一部解除の実質を有すると考えれば、売主に帰責事由なくてもできることも理解できるかと思います。

移転した権利が契約の内容に適合しない場合の売主の担保責任

買主が4つのことができることはまったく同じです。(民法第565条)

期間制限について

数が足りないとき、権利の不適合のときは、担保責任の期間制限はありません。通常の消滅時効にかかります。

物の不適合のうち、種類、品質の不適合のとき、担保責任の期間が制限されます。(民法第566条)

競売における担保責任について

競売の目的物の不適合のうち、種類、品質の不適合のとき、担保責任の規定は適用がありません。(民法第568条)

担保責任を負わない旨の特約

(民法第572条)

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