この図は、中古不動産の売買契約が有効に成立した、という図です。
「契約」が有効に成立したら、「債権」が生まれます。
有効に成立した契約から債権が生まれて、そしてその債権が両方とも履行されていないという段階を図示していることをちょっと覚えておいてください。先に進む前に、前提知識についてご説明します。
契約と債権の関係
契約→債権です。
債権の発生原因は、契約、事務管理、不当利得、不法行為の4つです。今回は契約について考えています。
契約と物権の関係
また、本当はこちらから検討しなくてはいけないのですが、売買契約で「物権」たる所有権も移転します(なんの特約もしなかったら所有権は移転します。例えば売買契約の内容として、買主がお金を払うまでは所有権は移転しない、などとすることも可能です)。
引き渡しは、まだなされていなくても、所有権は移転します。実際の物の移動と、物権である所有権は関係ありません。
物権と債権の関係
物権と債権は別物として考えます。
通常は、物権を先に考えます(どちらに所有権があるか?と考える)。
このとき買主は、売買契約から生じた引渡債権のほかに、物権たる所有権にもとづいて物を引き渡せということが言えます。これを物権的請求権といいます。債権とは別物です。物権の効果です。
このとき買主は、
- 物権的請求権にもとづいて引き渡せと言えるし、
- 引渡債権にもとづいて引き渡せと言えます。
この2つの権利は別の権利です。
債権と請求権の関係
ややこしいことをいいますと、債権はイコール請求権ということになっています。例えば代金債権と代金請求権、引渡債権と引渡請求権は、同じものを指していると考えます。債権はイコール請求権です。このほかに物権から生まれる請求権がある、ということです。
債権はイコール請求権ですよ、物権的請求権というものもありますよ、ということを図で表しています。
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物権のことは考えたうえで、債権のことを考えます。
契約から債権は生まれましたが、今度はその債権が消える場面について考えます。
代金債権の債権者は売主です。
引渡債権の債権者は買主です。
この債権者が満足する状況になったら債権は消えます。これを履行がなされたといいます。
では、履行が不能である場合はどうなるのか?について、以下みていきたいと思います。
【参考】第412条の2 履行不能
履行不能ということを考えるとき、金銭債権は法律上履行不能となることはない、と考えます。履行不能ということを考えるとき、履行不能になっているのは引渡債権のほうです。
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