履行不能になったら、反対債権はどうなるか?危険負担まとめ

契約が有効に成立したら、債権がうまれました。その債権(引渡債権)が履行不能になったらどうなるのか?もう一方の代金債権はどうなるのか?を考えてきました。
第2回 履行不能にから、債務不履行と危険負担の基本形を確認する

売買契約後、引渡前に目的物が滅失した図
今まで考えてきたのは、時期的には「契約後、引き渡し前」です。このときに当事者双方がわるくなく物が滅失した場合に、引渡債権はどうなるのか?金銭債権はどうなるのか?を考えました。

次に、引渡したあとに、当事者双方がわるくなく物が滅失したらどうなるか?を考えます。
さらに、契約締結前から物が滅失していた場合にどうなるか?もあわせてみておきます。

引渡した「あと」に、当事者双方がわるくなく物が滅失したら?代金債権はどうなる?

一般常識で考えてみます。

ちゃんと引渡しているんです。その後に、当事者双方がわるくない理由で物が滅失しました。普通に考えると、買主はお金を払えよ!となりませんか?

条文もそうなっています。(第567条第1項)

引き渡そうとしたんだけど、買主がひきとってくれなかった。その後、当事者双方がわるくなく物が滅失したら?代金債権はどうなる?

これも、一般常識で考えてみます。

すると、これも上と結論的には一緒になるということでよいかと思います。

これも条文ではそうなっています。(第567条第2項)

これらを難しくいうと対価危険が移転しています(買主はお金をはらわなくてはいけなくなっています)。民法第536条第1項の例外です。(第536条第1項)

567条1項は、目的物について「売買の目的として特定したものに限る」としています。ここでいう目的物には、特定物と特定した種類物(不特定物)がいずれも含まれます。
なお、対価危険が移転するのは、特定のときではなく、弁済の提供(受領遅滞)のときです。
特定の効果は、売主がこれ以後の調達義務をおわなくなることです。

特定について

ここまで考えておりましたのは、対価危険のはなしでした。代金債権の運命やいかに?というはなしです。これに対して、「特定」の効果は、給付危険の移転です。引渡債権のはなしです。引渡債権の債務者である売主は、これ以上同種の物を調達しなくてよいとする効果です。

特定後、引渡しまでに両当事者の帰責事由なく目的物が滅失又は損傷したら?

これまでの考え方ならば、特定したので売主は調達義務を免れます。滅失したら、履行不能となります。(第412条の2) 損傷の場合は、修補が可能であれば買主は追完請求ができる、ということになります。

契約締結する前から物が滅失していたら?


原始的不能(契約締結前から履行不能であること)のとき、古い判例では、契約がそもそも無効とするものがありました。

こうすると、契約が無効→債権が発生していない→債務不履行がない→債務不履行にもとづく損害賠償請求ができない!ということになります。

しかし、履行不能となったのが契約の前か後かで、債務不履行にもとづく損害賠償請求におおきな差がでるのはおかしいだろうということで、改正がなされています。(第412条の2第2項)

第4回 履行不能から、債務不履行にもとづく損害賠償を確認する

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